転職市場では「あなたの市場価値」は今も下がり続けている

「このまま今の会社にいて大丈夫なのか?」一度は頭をよぎるそんな不安。

もう会社は守ってくれない。そんな時代に私たちはどのように判断し、職業人生をつくっていくべきなのか。

そんな「一生を左右するほど大切なのに誰にも聞けないこと」を考えます。

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何歳が転職のリミットなのか?

転職が当たり前になりつつある今。現代はすでに2人に1人が転職をする時代です。人生100年時代への突入で一生のうちに1社だけに勤める人の割合は今後も更に減っていくことが考えられます。

日本の大企業の多くは「年功序列制」を導入しています。最近は少しずつ「実力に基づく給与」に移行しつつありますが、依然として「年齢に基づく基本給」を設けているところが少なくありません。加えて、総合職採用とジョブローテ―ションの仕組みにより、深い専門性を身につけさせないまま40代に突入させています。結果的に「転職市場で価値のない40代」が大量に生み出されています。

少し前に、あるTwitterユーザーが総合商社に勤める年収2000万円の窓際族のことを「Windows 2000」と呼んでいるというエピソードをツイートして話題になりました。

「働かないのに給料だけが高い窓際のおじさん」に対し、「若い人ばかりが割りを食っているのは損だ」という気持ち。

その気持ちはわかりますが、窓際族のおじさん以上に悪いのは日本企業の制度です。具体的には、日本企業の多くが昔から取り入れてきた「一括採用×ジョブローテーション」という制度が「転職価値のない30~40代」を大量に生み出しているのです。

一括採用からのジョブローテーションという制度は確かに「社内のことを知るため」には素晴らしい制度です。20代のうちに3年ずつ3つ程度の部署を経験することで、結果的に「社内で顔を知っている人」が増えていきます。この社内の人脈は40代、50代になったときに役に立ちます。社内における関係各所との調整がしやすくなるからです。また、今の部署で活躍できなかったとしても他の部署に回しやすくなります。よって「社内でのキャリアパス」は広く大きくなっていきます。

一方、外資系企業はというとそれとは異なり、新入社員には部署があらかじめ決められ「プロフェッショナルとしてのキャリアパス」が用意されます。3年程度の実務経験を積み、若手の育成を担当しはじめ、5~6年すると1つの領域に関してはかなり深い経験を得ます。そして、30歳になる頃にはチームマネージャーを経験し、はやくも「プロフェッショナルとしてのキャリア」が完成します。新しい専門性を身につけたければ、今の専門性を軸に新たに挑戦すればいいですし、もし今の専門性をさらに深めたければ、その道を極めていけばいいわけです。少なくとも食べていくための「軸」が存在しています。

何が言いたいかというと、日本型の総合職採用とジョブローテーション制度は、あたかもキャリアの選択肢が広がっているように見えて、実は狭くなっているということです。

「何歳が転職のリミットなのか?」の結論は、タイムリミットはありません。しかし、「あなたの市場価値」は35歳までにほぼ決まります。

この日本社会の構造、制度に気づくことができれば、今からでも絶対に遅くありません。

今の仕事に満足しているか?

日本人は「ただ仕事を失いたくない」というだけの「思考停止したロボット」になっています。あなたやあなたのご両親は、家庭の中では人間味のある優しい人かもしれません。ですが、職場においては「思考停止したロボット」になっているのです。それが今の日本人の仕事に対する現状です。その根拠は、いくつかのデータ、事実から読み取れます。

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【引用】https://data.oecd.org/emp/hours-worked.htm

日本は先進国の中で「ものすごく労働時間の長い国」ではありません。平均で見ると平均より下回り(棒線グラフの黄色が日本、黒色が平均値)、先進国の中でもアメリカや韓国より短い状態にあります。「日本人は異常なぐらい働く」と言われていましたが、それは数年前の話なのです。

では、何が問題なのかというと労働生産性です。日本の労働生産性を就業者数あたり、労働時間あたりで見ると、先進国の中では約15~25%低く、アメリカと比べると6割程度になっています。GDPが1兆円を超える国の中で、日本より生産性の低い国は韓国かメキシコぐらいしかありません。

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【引用】http://www.jpc-net.jp/intl_comparison/intl_comparison_2016.pdf

それでも日本人の就業者たちの多くが楽しんで仕事ができているのであれば、なにも問題はありません。仕事は人生の大半を占めるものです。しかし、現状は違います。日本は先進国の中でもっとも仕事に対する満足度が低いのです。言い換えれば、楽しくない仕事を生産性が低い状態でしている「古いロボット」のように働いているのです。それが今の日本の現状です。では、そんな私たちは何を考えて普段働いているのでしょうか。下図は「仕事をする上で重要だと思っていること」の国際比較です。

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【引用】https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2009_06/090602.pdf

この図から、日本人は何一つとして平均を上回っているものがないことが分かります。仕事に対して何一つ重要視するものがないのです。

つまり、日本人は労働生産性が低い仕事を「ただ仕事を失いたくない」という、その一心で働いているのです。言い換えれば「奴隷」。それが日本の現状なのです。

仕事が嫌いになった大人は50歳近くになった頃、自分の「定年までの年数」を数え始めます。自分が仕事を辞めて解放される「その日」を指折り数えるようになるのです。しかし、現実はそう甘くはありません。今の日本の人口動態を考えると、定年は70歳、あるいは80歳になると言われています。ですが、このことを知っている人はそう多くありません。自分の思っていた「定年」の直前になって、さらに15年働き続けなければならないことを知るのです。

「解放されること」を夢見て働きながらも、その「懲役」はまだ続くのです。

ここで疑問に思うことが出てきます。そんなに嫌なのであれば、仕事を変えて、他の職場に移ることだってできるはずです。ですが、ここにも大きな壁が立ちふさがっています。今の日本の働き方では「年を取ると、あなたの価値は下がる」傾向にあるのです。

下図から日本人は諸外国に比べて、転職する人が少ない傾向にあることがわかります。

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【引用】https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2009_06/090602.pdf

転職が少ないことに良し悪しはありません。問題は、統計データ(下図参照)によると、実際に転職することによって給料の上がる可能性は一定の年齢(50歳)を超えると急激に下がる傾向があることです。これはまるで時限爆弾のようなものです。

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【引用】http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/16-2/dl/gaikyou.pdf

転職時の給料というのは、その人の労働市場での価値です。本来であれば歳をとればとるほど経験を積むわけですから、価値が上がる可能性は高まるべきです。しかし50歳を超えると、その人の市場価値は上がるどころか下がっていくのです。

仕事に絶望を見出した人々はこれを直感的に知っているので、30代、40代から思考を停止し、会社の中で生き残ることを第一に動き始めるのです。

思考停止した自分から脱するために

いったい何故、日本人は転職する人が少ないのでしょうか。

その理由の1つに日本人がなんとなく感じている「共通の価値観」があります。具体的には「真面目すぎること」や「挑戦することに対する過度な恐怖心」です。日本にはなぜか「3年は仕事を続けなければならない」「転職する人間は1つの会社で勤めることができない根性のない人間だ」「他の人が頑張ってるのだから自分も長時間働かなければならない」といった暗黙の価値観があります。

日本人は真面目すぎるが故に「そんなに嫌であれば転職すればいいのに」という考えが生まれてこないのです。それはレールからドロップアウトすることに対する過度な恐怖心を生み出しているのです。統計データをみても、50歳までは「転職すれば給料が上がる可能性」が高いのにもかかわらずです。

もう足踏みはしていられないのです。2人に1人が転職する時代。自分のキャリアを振り返る機会を持ちませんか?

次回は、転職で「勝ち組」になるために知っておくべきこと、さらに「あなたの市場価値」を知る方法について考えます。

転職で「勝ち組」になるための絶対法則に続きます。

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